ロルフィングとエニアグラム

2010年7月28日 § コメントする

いよいよ来週からマーク・カフェル博士の
エニアグラム・ワークショップ(詳細)が始まります。

以前の記事にも書きましたように、
講師のマーク・カフェル博士はロルファーです。
ロルファーがなぜエニアグラムを?という質問をいただきましたので、
ロルフィングの歴史を含めたその関係を少し。

アイダ・ロルフ博士は筋膜に着目し、それが人の身体の中でどのように働き、
どのように影響を及ぼすか、優れた洞察力とリテラシー能力を用いて、
試行錯誤しながら模索していました。

当時ストラクチュラル・インテグレーションとしては、
まだ確立されてはいなかったもののすでに驚異的な施術をする
女性として評判になっていたので、
60年代のヒューマンポテンシャル運動のメッカであったエサレンで
中心的な人物だったフリッツ・パールズの目に留まり、
カリフォルニアのビック・サー、エサレンへと招かれます。

そこでさらに実践を重ね、いよいよストラクチュラル・インテグレーションが
確立されていきます。

その頃、すでに彼女のセッションを受けた人たちは”ロルフィング”と
呼んでいたらしいのですが、ロルフ博士自身は気に入らなかったようで、
ヒューマン・インテグレーションとかいくつか考えた中で
”ストラクチュラル・インテグレーション”と名づけ、
ロルフィングという愛称をしぶしぶ認めたのはずっと後のようです。

ロルフ博士は自分の専門である生化学だけでなく多分野に渡る
知識・経験を得ていたようで、ストラクチュラル・インテグレーションを
練り上げる中でも、洋の東西にかかわらずあらゆる有効と思われる手段を
咀嚼、吸収し、そのエッセンスを取り入れました。

そして、第1次G.S.I.(現ロルフ・インスティテュートの前身)以前に
ロルフ博士が指導したロルファーはさらにロルフィングを深めるために
各々”指令”を受けていたようです。

その中で、心理学者であったカフェル博士はアリカ研究所へ派遣され、
エニアグラムを学ぶことになります。
しかし、カフェル博士はアリカ研究所でエニアグラムを学ぶというよりも、
オスカー・イチャーゾとエニアグラムのさらなる研究をしていたようです。
また、同時にアリカ研究所でロルフィングを教えることもしました。

そんな役割分担の中で、ロルフ博士が直々に選んだ最初の
ロルフィングインストラクターであるエメットとピーターは
ベーシック10シリーズをアイダが教えたそのままに、
忠実に後世へ受け継ぐことを使命とし、80年代後半から
革新的な雰囲気が強くなったロルフ研究所を離脱し、
第2次Guild for Structural Integration(G.S.I)を設立します。

また、昨年来日したエド・モーピンもそんな一人で
「あなたは本を書きなさい。」といわれ、長年の実践の末、
”A DYNAMIC RELATION TO GRAVITY”(和訳あり)を記します。
A Dynamic Relation to Gravity

さて、ロルフィングは完璧ではありません。
ロルフ博士自身、まだ始まったばかり、と言っています。
彼女亡き後、どれほどの進歩発展を見据えていたのかはわかりませんが、
エニアグラムにもあるような数の神秘にも
多分に興味を示していたことは確かなようです。

そして、カフェル博士の研究したエニアグラムは
イチャーゾが教えるために整理する以前の内容もあり、
また、ロルファーであり心理学者でありというバックボーンから
エニアグラムをあらゆる角度から理解しているものと期待しています。

ロルフ博士は、ロルフィングの心理的・精神的影響という側面も
大いに関心があったと思いますが、科学的に証明が難しく、
また、2人として同じ人はいないので、その効果を検証できる
再現性も無く、あまり多くを語らなかったようです。

今となっては、想像するしかありませんが、
ロルフィングのひとつの発展の方向性として、
心理学側面のクローズアップも当然あったのだと思います。

兎にも角にも、楽しみなワークショップです!

では、また。

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