ハイヒール/姿勢/変形

2011年3月3日 § コメントする

女性のクライアントさんには、必ずお話しすることなのですが、
ハイヒールを長時間履かないこと、パンプスも必要なときだけ、ということです。

理由は単純明快、人のカラダはそれらを履くようにはできていないからです。

いや、普通に苦もなく履けますよ、という声も返ってきそうですが、もう少し言うと、
身体はかかとを高くして姿勢を保つようにはできていない、のです。

イギリスの大学での、5センチ以上のヒールを日常的に履く人を
調査したデータを見たことがありますが、
常に短縮しているふくらはぎの筋繊維が通常の13%も短かく、
アキレス腱は肥厚になっていたそうです。

カラダにとっては決して楽ではない姿勢でも、
常にその姿勢を続けていると、カラダはその姿勢を維持するために
健気に努力します。働きます。

このケースでいくと、長い筋繊維を常に収縮させておくのは大変だから、
新陳代謝の中で繊維を短く作り変えてきたということです。
もちろん筋膜も相当萎縮しているでしょうね。

ハイヒールを履くことで受ける身体への影響は、
当然これだけではありません。

たとえば、
ひざ、腰、背中にも常に負担を強いられますし(腰痛、肩こりに)、
足指は鋭角なつま先に押し付けられますので、
外反母趾、ハンマー足指や腱膜瘤を患うこともあります。

できるだけ足の形、動きを邪魔しないシューズを履くのが一番ですが、
どうしても必要なときは、現場についてから履き替えるとか、工夫したいものです。
ハイヒールが立ち姿を美しく見せるのも確かですが、
姿勢や身体は、悪くなることはあっても良くなることはないということです。
もちろん、男性のビジネスシューズについても同じことですよ。

施術をしていても、硬い革靴、かかとの高い靴、サイズの合わない靴、
先の細い靴、足型と大きく違う靴等を履いている方の足は、
足全体がひとつの塊のようになっていて、
足としての機能を失っています。さも窮屈そうです。

近頃はシューフィッターさんが増え、カスタムインソールを作ってくれる
お店も増えましたが、あくまで臨時の対処でしかなく、
インソールでの痛みや変形への対応は根本的な解決ではありません。
良識ある技工士さんは、そのあたりきちんと教えてくれますけれどもね。
ちなみにぼくはと言いますと、
幸い革靴などはフォーマルを着る機会くらいにしか履く必要はないので、
日常は冬スニーカー、夏サンダルです。

しかもペラペラフニャフニャの、とっても楽ちんな武術シューズばかり履きます。
コンバースすら、ぼくには不快;-)

 

では、また

 

姿勢/ロルフライン

2010年12月13日 § コメントする

久しくS.I.について書いていなかった気がしますが、
今回は少しS.I.を知ってもらえる内容です。

友人が自分のサイトをかっちょええのにリニューアルしたので、
見せてもらったのですが、
トップページの図がよく書けていて皆さんにも見てもらいたくなったので
そんなのもからめて、S.I.的よい姿勢について少し書いてみようと思います。

これが友人のサイト(http://www.metodorolfing.com/)から
拝借した図です。もちろん了解済みですよ。

Alignment

ぼくは「アライメント」という言葉をよく使うのですが、
身体を便宜的にパーツごとに視た場合の配列、整列具合のことを指します。

この図は、身体を横から見た場合のアライメントですが、
一番左の理想的な状態に対して、右に並ぶ様々な癖のある姿勢があります。
自分に似ているなー、なんてのもありますか?

ロルフィングを創始したロルフ博士は、ストラクチュラル・インテグレーションを
ロルフィングと呼ぶことをはじめは嫌がっていましたが、
このサイドラインについては、姿勢を見る上での重要性から
「ロルフライン」と命名していたようです。

ぼくらも、ロルファー同士、プラクティショナー同士の会話では
ロルフラインとか、単にライン、というとこれを指します。

では、なぜこのラインが大切か、という話ですけれども、
この一本のラインが(ラインに)整えられていることが、
静的にはもっとも”重力と仲良し”の状態だからです。

”重力と仲良し”? と思った方、ちょっと理科の復習です。

「作用反作用」 小学生かな?習うのは。憶えていますか?
細かな要素を省いて、シンプルに言ってしまうと、
物が動かずに止まっているということは、

作用している力とまったく同じ大きさの力が、
正反対から作用して、打ち消しあっている。
すなわち、力は”ゼロ”と同じ。
と、いうことです。

ぼくのサイトにも、ブロックで模式的に書いていますが、
キレイなロルフラインのほうは重力の”G”矢印が上を向いています。
自分の身体の重さだけ、つまり身体に作用する重力の分だけ
下から支えてくれることを表わしています。
間違っても、”上から引っ張ってもらう”ワケではありません。

逆にラインが整っていない身体は、
重さが下だけではなく、崩れ落ちていく方向にも働きます。

下(鉛直)方向は重力が支えてくれますが、
横に崩れていく分は、誰が支えるのでしょう?
そう、その身体の持ち主、自分自身ですよね。

つまり、自らが崩壊(!)しないように、
姿勢の悪い人たちは四六時中、力んでいるわけです。

でも、たいていの人はそんな自覚はありません。
ボケちゃってるから(!!)。
そして、キレイな姿勢がどれだけ楽なものかを、知りません。
四六時中、余分なエネルギーを消費していることで、
自分の力が発揮しきれていないことを、知りません。

茹で蛙の話しはご存知でしょうか。
熱い湯にカエルを放り込むと、当然びっくりして飛び出しますが、
水の中に入れて徐々に温めると、気づかずに茹ってしまうらしいです。

そう、我われの身体も、徐々に進行するので慣れてしまうのです。
仕事の終わり頃には、あー疲れた、が当たり前で、
姿勢が悪いせいだなんて、これっぽっちも思わない。

脳は意外と簡単に慣れるというか騙されてしまいますので、
どうせなら、S.I.を受けてよい方向に騙されましょう。

上の図で、まっすぐでない人たちは少し背が低いですが、
歪みや捻れの分、縮んでしまいます。
今日も、しばらく前に10セッションを受けた人と話をしていたら、
身長が1.5cmも伸びた!と言っていました。
いや、伸びんたんじゃなくて戻っただけ。です。

そしてなによりも、
左端のような姿勢でいる限り、
身体的な慢性的な症状とはまったく無縁です。
自由で軽く、元気な身体!これがいいです。

では、また。

Where Am I?

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